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コラム

2020.08.12
健康 人間ドック・健診 外来診療

改めて考えたい『肥満』の健康リスクとは

肥満について

 新型コロナウィルス感染で、重症化リスクの一つに肥満が挙げられています。肥満の中には、必ずしも健康障害を有さず、また将来的に合併するリスクも低く、医学的には減量の必要性が低いと考えられる場合もあります。一方で、肥満と関連した疾患を有し、医学的に減量を必要とする肥満症の人が増えています。そのため、肥満を呈する人の中から減量のメリットのある人を選び出し医学的に適切な治療を行うため、健診・ドックなどでは腹囲を測定し体重身長からBMI(body mass index)を算出し、血液検査などを行っています。また、すでに肥満と関連する疾患を持つ人には、その疾患の改善や進展抑制が期待できるため減量を勧めているのです。

「肥満」と「肥満症」

「肥満」とは、脂肪組織に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。日本肥満学会では、治療の対象となる肥満とそうでない肥満を明確にするため、肥満に関連して発症する健康障害*を有し、医学的に減量の必要な状態を「肥満症」として区別しています。

肥満の判定基準にはBMI「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」を用い、BMI≧25が「肥満」です。 「肥満症」は、肥満(BMI≧25))と診断されたもののうち、

  • ①肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害*を有するもの
  • ②健康障害*を伴いやすい高リスク肥満として、ウエスト周囲長によるスクリーニングで内臓脂肪蓄積を疑われ、腹部CTによって確定診断された内臓脂肪型肥満

のいずれかの条件を満たす場合に診断します。

なお、非肥満者でも内臓脂肪蓄積者には冠動脈疾患患者が多いことも知られています。肥満でも非肥満でも、ウエスト周囲長が基準値を超えて内臓脂肪蓄積が疑われ、糖代謝異常・脂質代謝異常・血圧高値の2つ以上の異常が見られる場合はメタボリックシンドロームと呼ばれ、減量やその他の治療を要します。*肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害

  • ①耐糖能障害
  • ②脂質異常症
  • ③高血圧症
  • ④高尿酸血症・痛風
  • ⑤冠動脈疾患
  • ⑥脳梗塞
  • ⑦脂肪肝
  • ⑧月経異常・不妊
  • ⑨睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  • ⑩運動器疾患
  • ⑪肥満関連腎臓病

その他、診断基準には含めないものの、肥満と関連し注意を要する疾患: 胆石症、静脈血栓塞栓症・肺塞栓症、気管支喘息、皮膚疾患、男性不妊、胃食道逆流症、一連の悪性腫瘍(大腸がん、食道がん、子宮体がん、膵がん、腎臓がん、乳がんなど)

治療の目標

まずは3㎏の減量と3㎝のウェスト周囲長の短縮を目指しましょう。毎日朝食前に体重を測り2日に1度、-0.1㎏となるように、つまり2か月で3㎏減量のペースで食事運動を意識してみてください。 BMI25を目指し一気に減量するようなことは全くお勧めできません。そのような生活スタイルは継続できないだけでなく、リバウンドで脂肪が増えることにつながります。現体重の1~3%の減量でも中性脂肪、HDL、LDL、HbA1c、肝機能の改善を認め、3~5%の減量では血圧、血糖値、尿酸値の改善を認めます。

最後に

ご自身の体を知り早めに対策をたてるために、健康診断・人間ドック や内科を受診することをお勧めします。

 

執筆者

荒井 美乃(あらい よしの)
日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック 常勤医師 [医学博士・獣医師]
合併症予防という目標に向かって、患者さんとスタッフ一同、一緒に治療していけるような糖尿病外来を目指しています。

【認定資格】
日本糖尿病学会 糖尿病専門医
日本内科学会  総合内科専門医

 

<参考資料>
肥満症診療ガイドライン2016
日本糖尿病学会 編・著 糖尿病治療ガイド 2020-2021

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